こんにちは、インテク事務局です。
今回の特集記事では、全5回にわたって「社会保障と保険」について解説します。
【社会保障と保険①】その保険は本当に必要?社会保障制度を知って見直そう
【社会保障と保険②】医療保険は入ったほうがいいの?労災も解説 ケガ・病気まとめ
【社会保障と保険③】雇用保険や介護保険って何? 失業・介護まとめ
【社会保障と保険④】iDeCoってやったほうがいいの? 年金まとめ
【社会保障と保険⑤】保険の見直しで家計を引き締め!長期的な資産形成のために
「ケガや病気が不安だけど、どんな社会保障があるの?」
「医療保険のCMをよく見かけるけど、加入した方がいいのかしら?」
「労災ってどういうときに下りるの?」
日常生活のリスクに備えるための保険として代表的なものが、ケガや病気に関する保険です。
日本には、すべての国民が公的医療保険に加入することになっている「国民皆保険制度」があり、世界最高レベルの平均寿命と、高い医療水準が実現されています。
さらに民間の医療保険に加入している人も多く、雑誌やテレビでは医療保険の広告を目にすることも多いでしょう。
加入が当然となっている公的医療保険については、実は詳しい内容についてはよく分かっていないという人も少なくありません。
公的医療保険との違いを理解しないまま「何となく不安だから」と民間の医療保険に加入し、必要以上に保険料を支払っているケースもあるようです。
今回はケガや病気に関わる社会保障制度について、詳しく解説します。
いざというときに備えて知っておきたい「労災」についても、あわせて解説します。
公的医療保険
日本では、国民全員に公的医療保険への加入が義務付けられています。
都道府県および市区町村が運営する「国民健康保険」、会社員やその扶養家族が加入する「健康保険」、公務員やその扶養家族が加入する「共済組合」、原則75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」といった種類があります。
公的医療保険制度には、さまざまな給付制度が用意されています。
療養の給付
病気やケガにより、医療機関で診察や薬剤投与、手術などの治療を受けた場合に適用されます。
窓口で保険証を提示すれば、自己負担金(1割~3割)を支払うだけで診療を受けられます。
高額療養費制度
「高額療養費制度」は医療費が高額になり、1か月の上限額を超えた場合に、その超えた額が支給されます。
上限額は年齢や所得に応じて定められているので、自分の上限額はどのくらいか確認しておくとよいでしょう。
なお高額療養費を申請した場合、支給までは受診した月から少なくとも3か月程度かかります。
もし支払いが困難な場合には、無利息の「高額医療費貸付制度」が利用できる場合があります。
傷病手当金
「傷病手当金」は、病気やケガで仕事ができなくなった場合に給付金が支給されます。
連続して3日以上働けなくなった場合に適用され、4日目以降からは休業日に対して給付金が支給されます。
公的年金
実は公的な年金制度は、老後の保障だけでなく、病気やケガをした時の保障も備えています。
障害年金
「障害年金」は、病気やケガにより心身に障害が残った場合に給付されます。
手足の障害などの外部障害のほか、がんや精神障害、糖尿病などの内部障害も対象となり、現役世代の人も含めて請求が可能です。
支給される額は、障害の程度や配偶者・子供の有無などによって決まります。
遺族年金
「遺族年金」は、被保険者が亡くなった場合に遺族に支給されるもので、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。
遺族基礎年金は、亡くなった被保険者が受給条件を満たしている場合に、子供のいる配偶者または子が受け取ることができる年金です。
受給額は子供の人数によって異なり、受給期間は子供が18歳に到達する年度末までとなっています。
いっぽう遺族厚生年金は、厚生年金の保険料を支払っていた人が対象で、受給要件を満たしていれば子供がいなくても支給されます。
受給できるのは被保険者によって生計を維持されていた配偶者、子、父母、祖父母、孫で、受給期間はそれぞれ異なります。
労災保険
労災保険とは、仕事中や通勤途中に発生した出来事に起因したケガや病気、障害などに保険給付を行う制度です。
正式名称は「労働者災害補償保険」で、「労災」と略されることが多くあります。
会社員だけでなくパートやアルバイトも含まれ、休業時の手当は健康保険の傷病手当金よりも手厚い補償となっています。
まとめ
ケガや病気に関する社会保障制度について解説しました。
公的医療保険で医療費の負担が軽くなるほか、公的年金制度においても障害年金や遺族年金などの保障があります。
「思ったより充実しているんだなあ」と、感じられた方も多いかもしれませんね。
いっぽう医療保険は民間の保険会社からも多く販売されており、雑誌やテレビCMなどでもよく広告を見かけますよね。
保険会社は、医療保険の販売にとても力を入れています。
保険会社にとって、医療保険は期間中に何も保険事故(入院や手術など)がなければ、保険金・給付金を支払う必要がない「掛け捨て保険」なので、とても儲かるのです。
公的健康保険には高額療養費など充実した制度があるため、本当に医療保険に入る必要があるか、よく考える必要があるでしょう。
次回は失業や介護に関する社会保障制度や保険について解説します。