こんにちは、インテク事務局です。
今回の特集記事では、全5回にわたって「経済指標」について解説します。
前回は景気に関する経済指標として「景気動向指数」について詳しく解説しました。
【経済指標③】労働力調査って何?雇用の経済指標とは
【経済指標④】消費者物価指数(CPI)って何?物価の経済指標とは
【経済指標⑤】日本の貿易は赤字?黒字?海外取引の経済指標とは
「ニュースでよく失業率が話題になっているけれど、どうやって調べているの?」
「有効求人倍率とか、新規求人倍率ってどういうこと?」
「失業率と景気ってどう関係しているの?」
人々の生活に密接に関係する雇用や賃金の指標は、世間一般からの関心も非常に高いものだといえます。
特に失業率は注目度が高く、ニュースで大きく報道されることも少なくありません。
雇用の拡大は経済政策においても非常に重要であるため、中央銀行や政府は雇用や賃金の動向に大きな関心を寄せています。
また消費するための元手となる雇用や賃金は、消費動向に大きな影響を及ぼします。
勤務先の会社が倒産しそうだったり、給料が下がりそうだったら、積極的に消費しようという気分にはなれませんよね。
このため雇用や賃金に関する指標は、景気判断においても重要な役割を担っています。
今回は雇用に関する経済指標にはどのようなものがあるのか、詳しく解説します。
労働力調査とは
「労働力調査」は雇用動向を幅広くとらえた経済指標で、雇用に関する主な事項はほぼこの統計で把握できます。
日本では1946年から、現在の総務省統計局で毎月調査が行われています。
毎月末の1週間に、全国の国税調査から抽出された、約4万世帯の15歳以上の世帯員10万人を対象として、期間中に就労したかどうか、その時間や仕事の種類、企業規模、就業希望の有無などが調査されます。
月々の就業・失業の状態を把握することで、景気判断や雇用対策に役立てる狙いがあります。
調査で最も注目されるのは「失業率」の動向で、「完全失業率」は労働力人口に占める完全失業者数の割合のことで、以下の式で算出されます。
完全失業率=完全失業者率/労働力人口×100
「労働力人口」とは、15歳以上人口のうち働く意思と能力がある人のことで、「働いている人」または「働きたいけれど仕事がない人」があてはまります。
「完全失業者」とは、働く意思があるにも関わらず仕事が見つからない人のことです。
実際に働いている人は「就業者」と呼ばれ、働く意思を持たない専業主婦や学生、退職した高齢者、ニートなどは「非労働力人口」にあてはまります。
失業率を見ることで、働きたいと思っている人の数に対して、企業がどれくらい人を雇っているのかが分かります。
つまり失業率から、労働市場における需要と供給のバランスを把握することができるのです。
例えば2021年11月30日に総務省が発表した10月の労働力調査によれば、完全失業率は2.7%で前月より0.1ポイント低下しました。
低下は3か月ぶりで、新型コロナウイルス感染対策に伴う緊急事態宣言などが全面解除され、国内経済が正常化に向かいつつあることが背景にあると分析されています。
また完全失業者数は前月より7万人減少して182万人となり、就業者数は24万人減少して6,624万人となりました。
一般職業状況とは
労働市場における需給バランスを見る経済指標としては、失業率以外にも「有効求人倍率」や「新規求人倍率」もあります。
ニュースでこういった言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
厚生労働省はハローワーク(公共職業安定所)での求人や求職の状況を取りまとめて、「一般職業紹介状況」として毎月公表しています。
有効求人倍率と新規求人倍率は、ハローワークで行われている求人と求職の比率を計算したもので、以下の式で算出されます。
有効求人倍率=有効求人数/有効求職者数
新規求人倍率=新規求人数/新規求職者数
つまり有効求人倍率は、仕事を探している求職者一人当たり何件の求人があるか示しており、1なら求人数と求職数が一致しているということです。
新規求人数は、その月に新たに受け付けた求人数を指します。
これらの指標は景気との連動性が高く、景気が良くなれば求人が増えて求人倍率が上昇し、景気が悪くなれば求人が減って求人倍率が低下します。
ただし調査対象はハローワークでの求人や求職に限定されているため、最近よく見られるインターネット上での募集や新聞雑誌などでの求人は対象とならない点に注意しましょう。
雇用や賃金に関する経済指標としては、このほかにも賃金の動向を示す代表的な指標である「毎月勤労統計」が毎月厚生労働省から公表されています。
まとめ
雇用に関する経済指標について解説しました。
労働力調査は雇用に関する代表的な経済指標で、総務省から当該月の翌月下旬に毎月公表されており速報性も高いものとなっています。
雇用に関する指標は、政府や中央銀行の政策に大きな影響を及ぼす重要度の高い指標です。
人々の生活に密接に関係するため、世間一般からの注目度もとりわけ高いものといえます。
次回は消費者物価指数について解説します。

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。