こんにちは、インテク事務局です。
今回の特集記事では、全5回にわたって「金融関連法」について解説します。
【金融関連法①】「金融商品取引法」って何?金融関連法の基礎知識
【金融関連法②】「インサイダー取引」って何?実際の事例も紹介
【金融関連法③】「消費者契約法」って何?悪徳商法の事例も紹介
【金融関連法④】「クーリングオフ」って何?特定商取引法とは
【金融関連法⑤】「改正大民法」で何が変わった?変動する社会に対応するには
「クーリング・オフってどんな仕組み?」
「勧められて契約した高額な脱毛サロンを、やっぱりやめたいんだけど、どうすればいいの?」
「クーリング・オフの通知ってハガキじゃないとだめなの?電子メールでもいいの?」
日常生活において、事業者から勧誘を受ける機会は少なくありません。
街で声をかけられて、断り切れずに高額な脱毛サロンの契約をしてしまったけれど、よく考えたらお金も足りないし、必要ないかも…。
自宅に来た買い取り業者が不用品を買い取ってくれたけど、大事な物まで売ってしまったからやっぱり取り戻したい…。
友達に誘われた投資セミナーで入会金を払ってしまったけど、マルチ商法だったみたい!怪しいから辞めたい…。
そんな時に、消費者の味方になってくれる法律があります。
今回は「特定商取引法」について解説します。
特定商取引法とは
特定商取引法とは、違法で悪質な勧誘などを防止し、消費者の利益を守るための法律です。
訪問販売や通信販売といった、消費者トラブルが発生しやすい取引を対象として、事業者が守るべきルールや、クーリング・オフなど消費者を守るルールが定められています。
対象となる取引
特定商取引法の対象となる取引として、以下が挙げられます。
・訪問販売
・通信販売
・電話勧誘販売
・連鎖販売取引
・特定継続的役務提供
・業務提供誘引販売取引
・訪問購入
事業者が消費者の自宅などを訪問して宝石など物品の購入を行う「訪問販売」や、事業者が新聞や雑誌、インターネットなどで広告し、郵便や電話などで申し込みが行われる「通信販売」、事業者が電話で勧誘する「電話勧誘販売」などです。
いずれも私たちの生活において、身近な取引ばかりですよね。
特定商取引法は、消費者への適正な情報提供等の観点から、事業者に対し各取引の特性に応じてさまざまな規制を行っています。
勧誘開始前に事業者名や勧誘目的であることを消費者に告げる「氏名等の明示の義務付け」や、勧誘時に虚偽の説明などを禁じる「不当な勧誘行為の禁止」、虚偽・誇大な広告を禁止する「広告規制」などの規制があります。
特定商取引法に違反した場合、業務改善の指示や業務停止命令・業務禁止命令の行政処分の対象となるほか、罰則の対象となることもあります。
クーリング・オフとは
特定商取引法は、事業者と消費者の間のトラブルを防ぎ、容易に救済ができるようルールを定めています。
その代表的なものが「クーリング・オフ」です。
クーリング・オフとは契約を申し込んだり締結した後に、法律で定められた書面を受け取ってから「一定の期間内」に無条件で解約をすることです。
「一定の期間内」とは、訪問販売や電話勧誘販売、特定継続的役務提供、訪問購入の場合は「8日以内」、連鎖販売取引や業務提供誘引販売取引の場合は「20日以内」となっています。
なお通信販売は訪問販売のように「不意打ち」で行われるものではないため、クーリング・オフは適用されません。
通信販売や店舗購入のように自ら申し込みや購入するものは、クーリング・オフの対象外となるので注意しましょう。
クーリング・オフの通知はハガキなどの書面で行われてきましたが、2022年6月1日からは電磁的記録でもクーリング・オフの通知ができるようになりました。
電子メールや事業者が自社のウェブサイト上に設けるクーリング・オフ専用フォームなどからでも通知を行うことができます。
また特定商取引法ではクーリング・オフのほかにも、消費者が中途解約する際などに、事業者が請求できる損害賠償額に上限を設けるなどのルールを定めています。
まとめ
違法で悪質な勧誘などを防止し、消費者の利益を守ってくれる「特定商取引法」について解説しました。
なかでも契約を再考し期間内であれば無条件で契約を解除できる「クーリング・オフ」制度は消費者の強い味方です。
クーリング・オフを利用できる期間は限られているため、いざという時に備えてクーリング・オフの仕組みや方法を理解しておくようにしましょう。
また「ネットで買った靴のサイズが合わなかった」「通販で買った家具のサイズが大きすぎた」といった理由で返品したくなることもあると思いますが、通信販売で購入した場合はクーリング・オフは適用されません。
よく確認したうえで購入するようにしましょう。
次回は「民法大改正」について詳しく解説します。